たとえ趣味でも、写真をやっていると必ず通る道が「構図」だと思います。
構図はそもそも絵画における構成を発達させた理論であり、写真における構図は絵画をベースに独自発展させたものだという理解をしています。
当サイトではカメコ写真に限った話をしていますが、状況や撮影条件が常に変化する写真において、果たして構図についてどこまで考えていくべきなのでしょうか?
あくまで素人意見ですが、構図は自分の考えや写真の理解をフレーミングさせることで、受け手に対して理解を促進させることになると考えています。
一方で、ライブ写真のように一瞬の出来事を連写する中で構図を考えるのは中々に難しいです。
意識しておきたいのは、フレーミングによる理解促進はあくまで手段であり、構図に当てはめること自体が目的ではない、と私は思います。
最終的に見心地が良ければ何ら問題はないと考えています。もちろんこれも素人の考えですが…
とはいえ、ノーヒントでゼロから写真を始めて、見心地の良い写真を伝えるというのは中々に難しいと思います。
今回は魅力的なアイドルをどのようにして画面の中に配置していくか、その思考法を筆者なりに紹介したいと思います。
※おことわり
本記事では実際に私が撮影し、公式により拡散可となっているアイドルの写真を用いた例を多数紹介しますが、これらはパブリシティー権の侵害を目的にしたものではなく、引用の目的上正当な範囲内で掲載しています。問題がありましたらお問い合わせフォームよりご連絡ください。
アイドルカメコで考えられる構図のパターンについて
構図の理論については非常に多岐にわたるので、一つ一つの詳細な説明は以下のAdobeの記事を参照ください。
参考:知れば写真が上手くなる!基本・応用の構図15選と構図を使いこなすコツ
アイドルカメコにおける、特に動きものの構図としては主に「三分割構図」「日の丸構図」の2つだと思います。
そのうえで、稀に「対角線構図」「S字構図」など出てくる場合もありますが、ステージを撮影するに際しそこまで登場することはなく、「三分割構図」そこに内包される「日の丸構図」で98%は占められると思います。
具体的には編集の際にグリッドを引き、被写体や背景の”収まりの良さ””バランス””重心の方向”を加味して調整をしていきます。
次項から具体的な例とともに、グリッドを引いた写真を見ながらバランス、重心についての考え方を説明します。
例①顔の収まりを整え、身体のバランスをシンメトリーにする
まずは三分割構図を念頭に起き、グリッドを引いて考えます。
三分割した時に、日の丸にした方が美しいか、ラインを少しずらした方が深みが出て面白いか?から考えるようにしています。
以降に登場するグリッドについては、Lightroomなど編集ソフトで切り抜きやトリミングを行おうとした際に表示されるものと思います。
なお、グリッドの説明をしやすくするため、三分割構図の各ブロックを以下のように番号をふって説明します。
三分割した時に、被写体のバランスと重心を考えます。
この場合、真ん中の列に被写体と顔がバランスよく収まり、1本目と2本目の縦線で分けた時に、身体のバランスがシンメトリーになっているかを考えます。
番号で示すと②と⑤のブロックに顔が均等に収まるように考え、④⑦と⑥⑨のバランスが限りなくシンメトリーになるように収めていきます。
もう少し寄りの写真で考えた時、被写体の頭まで写そうとすると身体の重心および余白のバランスが悪くなり、顔が大きく見えてしまうため、頭を少し切ることでバランスを整えます。
④⑦、⑥⑨のバランスもある程度収まった画角になったと思います。
2人が写る写真も同様に考えます。身体の重心と近いところに線を引き、縦線からはみ出た部分がシンメトリーになるようにバランスを考えました。
身体の向きが別々で、自身は下手から撮るという状況でしたが、グリッドと身体の重心のバランスを整えれば綺麗に収まりました。
こちらはもう少し寄りですが、身体の重心に線を引くように整えることでバランスを意識しています。
④⑦、⑥⑨のシンメトリーがハマっている気がします。
縦構図の時も同様で、身体の重心を意識し、縦線から見たシンメトリーを意識し、ある程度余白を残すことで窮屈な写真にならないように心掛けています。
例②三分割の交点や線上に強調するポイントを置く
この場合、石田千穂さんがカメラのサインをして、顔の中にフレームが出来ることで目が非常に強調されています。
指の向きも綺麗に平行になっているので、フレームがよりわかりやすく明示されます。
この時、瞳をテーマにしたいとなると、三分割の交点に瞳を置くことで構図として非常に収まりの良いものになりました。
瞳がテーマなので、頭は思い切ってトリミングして切ってしまいましたが、指のフレームのおかげで窮屈感もなくバランスよく整えることができました。
縦構図にの寄りについて、石田千穂さんの可愛さを強調したいと思いました。
寄りでバランスを保ちつつ顔の良さを強調するために、顔の中心である鼻あたりを交点に置くことでバランスが良く収まりました。
例③余白と視線の向きを順か逆にする
視点の先の矢印の方向に、見る側の視線は誘導されます。
一般的に、この矢印の先に余白があれば写真の構図は安定し、矢印とは反対の方向に余白があれば、背景や空間にメッセージを与え、少しハラハラするような印象を与えられます。
三分割の交点を身体の中心に置き、視線の先にある余白は観客や綺麗なサイリウムにすることで大きなステージ感を伝えたいと思いました。
また、ライトの向きが左から右(被写体側)に当たっていることで、受け手側の視点の動きに深みが出たのではないか?と勝手に思っています。
まず、構図として冨田菜々風さんがS字になっているところで、この写真を見つけた瞬間「おお!?」って思いました。
冨田菜々風さんの視点は右下に向いているはずです。しかし余白を左側に残すことで、揺らぎ、儚さみたいなものが見て取れた気がします。(主観ですが)
これも同様ですね。被写体が適度にブレて写真が面白くなるので、SSは1/640が好きです。
目線の動き、手のブレ、余白、全てがアシンメトリーになるようにして不安定さ狙いつつ、身体の重心に線を引くことでバランスを保てるようにしたイメージです。
例④二分割/対角線を引く
写真の中にラインを見つけ、二分割することで安定感が生まれました。動きのあるシーンでもピタッと止まっているような、静謐さが生まれなような気がします。
光のラインと身体の重心に綺麗に線が引けました。(あるいは綺麗なラインになるように多少写真を傾けています)
視線の余白も出来ていて、良い感じの行間が生まれたような気がしています。
なお、カメラを傾けて撮るということも試したことがありますが、大体おもんなかったので以降はやらないようにしています。
最後に
他にも構図は実践しているような気がしますが、直近の全写真を見返してもやはり98%は以上の理屈で説明がつくものでした。
繰り返しになりますが、構図は自分の考えや写真の理解をフレーミングさせることで、受け手に対して理解を促進させる手段であり、目的ではないと考えています。
つまり、写真を見る人の見心地が良ければ何でも良いと思います。
あくまで写真をやる素人の考え方をまとめただけですので、実際の理論に則さない部分がいくつかあるかもしれません。
しかし、カメコの初歩だったりノープランでやっていた人にとって、考えるためのヒントになれば良いかと思います。
また、本記事で構図の説明をするにあたり、大和田良さん著「写真制作者のための写真技術の基礎と実践」を参考にさせて頂きました。
アイドルのライブ写真を撮影するカメコを4年ほどやっている重度のオタクです。年間30万枚以上は撮影しています。今まで得た経験や知見をもとに初心者でも分かりやすい情報を発信していきます。
STU48の石田千穂ちゃんが推しメンです!
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