「カメコで入ってみたけど、もっと推しの輝く姿を撮りたい!」「もっとカメコで修行したい!」という話を受けることがしばしばあります。
機材だけ良くても絶対に良い写真は撮れないというのが持論です。
本記事の狙いとしては、自分が上達したいと思った上でどのようなことを考えてPDCAを回したかというポイントの伝授となります。
精神論的な部分とノウハウ的な部分両方を独断と偏見で書いていくので、コイツはこんな風に考えてやってるんだなと思って見て頂ければ幸いです。
機材面
機材はCanon EOS R6とRF100-500mmの1本のみを使用しています。
これは限りなく自分の中でファイナルアンサーだと思っています。以下理由としては、
- EF70-200mm2型も所有していたが、使うシチュエーションが少ないので売却した。
- ライブ中に構図を考えながら撮影するので、単焦点は窮屈に感じてしまい必要としなかった。
- RFレンズの描写が相当良く、R6との組み合わせで暗く撮っても現像の段階で露光を持ち上げてもある程度ノイズは耐えられると考えている。
R6は非常に優秀で、ノイズもそこまで乗らないですし、SNSでの運用を前提とした時に容量面でも使い勝手が良く、多くの現場やツアーをこなしてもゆとりが持てます。
また、SDカードはSUNEAST ULTIMATE PRO SDXC UHS-II card【V90】を使用しており、256GB×1枚、128GB×2枚をやりくりして運用しています。
メモリーカードの選び方とおすすめについては以下の記事をご参照ください。
1回の公演で1万枚くらい撮影するので、CRAWでいうと大体128GBを1枚使い終わる計算です。
遠征したりツアー回りまくってる時はこれで全てやりくりします。
現像はLightroom モバイル版を使い、iPad Airを使用しています。
運用方法は、CanonのアプリであるCamera Connectを使って、カメラからiPadにBluetoothでRAWデータを飛ばすようにしています。
その際、特に良い写真ですぐにでも見てほしいものは星2、あとでじっくり現像したい写真は星1をつけ、その写真のみiPadに飛ばしています。
撮影前の準備
まず、撮影設定については以下の記事をご参照ください。
では、ライブ前の準備としてどのようなことを考えるか、以下にまとめました。
- 推しメンの動きやフォーメーションを事前に予測できる部分はしておく。
- MVをひたすら見るとか、ライブ中の推しはどのような立ち位置でどういう動きをするか、研究して頭に叩き込む。
- 座席の位置から写真の仕上がりをイメージする。仕上がりから逆算してレンズを選定する。
- 最近のイコノイジョイなど、大箱については着席時までどのようなステージ構成か分からないことが多く、結局全てRF100-500mmのみで充分となってしまった。。
特に、推しメンがいて記録に残すことに対して思い入れがあるのならば、情報収集や観察は徹底的に行い、感情の機微を把握しておいた方がいいと考えます。
アイドルも人間で、ライブは水物だと考えています。
その場で最高のパフォーマンスを発揮できる予兆のようなものは一流のアイドルであれば見えてくるはずなので、そこの機微みたいなものの観察眼については磨いておきたいです。
きっと、動画でなく写真を撮るという行為には、その瞬間にしか残せない物語を記録できると思います。
というか、カメコにこそオタクならではの観察眼と情報収集から生まれるアウトプットがあると考えています。職業で撮影していると、おそらく感情を排除してしまうからです。
カメコこそ感情を昂らせ気持ち悪いくらいのオタク性を発揮した方が差別化になると思いますし、カメコ席のニーズってそこなんじゃないかと思います。
ライブ中に気にしている点
- とにかくライブを盛り上げる。
- カメコ中は1カメと2カメがあるイメージ。1カメは手元のカメラで、2カメは俯瞰の映像。
- 演者を動きの連続体と捉える。
- 横持ちと縦持ちのバランスを意識する。
- 完成イメージを逆算しながら撮る。
やっぱりライブは盛り上がりたいです。もちろん楽しんでナンボってところですが、観客側が盛り上がることで演者側も盛り上がり、最高のパフォーマンスを発揮できると思います。
演者と観客が一体になってこそのライブだと思うので、120点の表情が撮れた時はカメコ冥利に尽きるんじゃないかと思います。
1カメ2カメ理論については、2カメを天空にある定点カメラの俯瞰映像として自分の脳内に送出するイメージです。
このような意識を持つことで、ファインダーを覗きながらも推しメンの次の動きを予測するようにします。
あとは、この意識があるだけでも、画角の外で何が起こりそうか大体イメージがつきます。例えばメンバー同士の絡みなど、広い視野で見ておくとお得なシャッターチャンスがあったりします。
あとは、演者を動きの連続体と捉えて写真を撮ります。動きのまま頭に記憶しておくと、後からそのシーンを思い返しやすいからです。
これらの意識をもって、背景を整理しながら撮影します。
背景に余計な情報は不要なので、ズームレンズで構図を作りながら整理します。
持ち方については、筆者は80〜99%の割合で横持ちです。
これは好みですが、縦持ちの方が窮屈に感じてしまい、あまり自分の中でしっくり来ないからです。
ただし、メンバーが窮屈で横構図だとごちゃごちゃしてしまう場合や、縦の動きが多いダンスやジャンプなどが想定される場合は積極的に縦持ちにする場合があります。
あとはあまり多用しないようにしていますが、遠い座席の場合は横で撮った写真を縦にトリミングするということもします。
SNSでほとんどスマホで見ることを想定したら、あまり気にしないかなと…
そして大事なことは、完成イメージを逆算しながら撮るということです。頭の中で現像しながら撮影しています。
ある程度場数をこなしていれば、かなり暗い照明の曲でも積極的にチャレンジ出来るし、逆に全く仕上がりのイメージが湧かないというシチュエーションなら、思い切って捨てて次のチャンスを狙うという見極めもできます。
選別
まず、選別において基本的なポイントは以下の記事をご参照ください。
そのうえで精神論的な点についてですが、
- カメコタイムの時間経過を時間軸で捉える。
- 大体どの位置に良いシーンやカットがあったかを覚えておく。
- シーンごとの動きを1から10で区切り、最初の選別で1と10の位置を選ぶ。次に3とか5とか、動きの途中でも表情や感情の機微、髪の靡きが良いものなどを選別する。
まず、カメコタイムの時間経過をエピソードの軸として覚えておきます。
そのことで大体あの辺にあの表情やレス、良い照明の当たり具合があったな、と思い出しやすくなり、この後の選別工程が非常に効率的になります。
そのうえで、ダンスや歌唱などの動きをパートごとに分け、1から10の流れとして頭の中で区切っておきます。
動きの始点と終点となる1と10の位置は大体表情が崩れにくく、ポーズ等も決まっている可能性が高いので、まず積極的に選んでいきます。
その後に、3とか7の地点の動きに良い感情が乗ってたり、動きが綺麗だったりすると、その地点の写真も選んでいきます。
現像
Lightroomを使った現像の基本的なテクニックについてはこちらをご参照ください。
そのうえで意識しているポイントですが、
- ライブ中に見えたリアルな光景を忠実に再現するのが理想なので、乖離しすぎないようにする。
- ライブ中の照明は消しすぎず、むしろ生かす方向がないか考えている。
- ディテール→効果→カラー→ライトの順で編集するようにしている。
- ライトの項目が与える変数が1番大きいため。
やはりリアル志向という点が大きいです。あまりフィクションっぽく、とろとろな加工にしすぎないように注意しています。
SNS投稿で気にしていること
- 写真からその時の背景やストーリーが伝わり、説明できる根拠のある写真が理想だと考えている。
- 1つのポスト単位で捉え、連続性のあるストーリーを持たせたい。そのため2〜4枚単位で投稿することが多い。
ライブ写真にはある程度ストーリーや情緒みたいな気持ちを乗せたいと思っています。
ライブは水物なので、その時にしか起こり得ないものを大切にしたいですね。
あとは、載せる判断基準として説明できる根拠のある写真が理想だと感じています。
「これはこの時の◯◯という曲で、こういったシーンの写真で…」と後からでも思い出して説明できる根拠を持っておきたいと思います。
その他カメコで超重要だと思うこと
カメコ写真というオタクの極みみたいなアウトプットをしていますが、写真だけでなくドラマや映画、漫画やアニメなど様々な作品に触れてインプットしておくと良いと思いました。
あと構図や技法的な部分からも、プロのクリエイティブは勉強になると思う場面が増えました。
究極、機材は手段だと思っています。
アイドルに好きな瞬間を伝え、アイドルの魅力を拡散してファンにも新たな発見や気づきを得てもらうのが目的であって、私にとって機材はそのための手段でした。
ただ、自分の理想のイメージがあって、その差分を埋めていくために理想の機材を追求していくこと自体はとても良いと思います。
裏を返せば、目標設定の解像度が低い時点で機材をアップデートばかりしていくのはちょっと待った方が良いと思っています。
決して安い買い物ではないので、機材レンタルなどで様子を見てから買う、でも間違いではないかと思います。
難しいニュアンスですが、「採用」という言葉はアイドル本人に対して使わないようにしています。
採用の反対は不採用ということになってしまうので、本人にそのことをチラつかせて良心の呵責みたいなのを呼んでしまうのはかわいそうだな、と思うからです。
素直に「使ってくれてありがとう」と言うようにはしています。
カメコは最底辺の存在だと自覚するようにしています。アイドルからありがとうと言われ、いいねやインプレッションでついつい勘違いして浮かれないように心がけていきたいです…。過去の自分は少なくともそうでした。
それでも、やはり好きなアイドルに写真という方法で好きを伝えられ、ファンにもアイドル本人にも良いきっかけや活力となるものをシェアできたと思える瞬間があると、すごく嬉しいです。
写真で、色んなことを肯定したいと思います。
アイドルのライブ写真を撮影するカメコを4年ほどやっている重度のオタクです。年間30万枚以上は撮影しています。今まで得た経験や知見をもとに初心者でも分かりやすい情報を発信していきます。
STU48の石田千穂ちゃんが推しメンです!
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